日本・中国・アメリカ 合作作品

映画
『ゴースト・オブ・ウエノ』

Ghost of Ueno

ある一人の路上生活者が亡くなった

孤独死したその男は
"ゴージョー"と呼ばれていた

遺された一冊の日記

見知らぬ彼の人生を辿った先に
待ち受けるものとは——

2026年8月 全国順次公開

SCROLL

一人の路上生活者が亡くなった。彼の本名も、生前に何をしていたのか、どうして公園のテントハウスにたどり着いたのかも、真実を知る者はいない。ソーシャルワーカーのサツキは、ホームレスのトシに助けを借りてその痕跡を追う——。

年間8万人以上の人が行方不明となっている失踪大国、日本。そのうち3万人は孤独死、さらにその約1割は身元不明の無縁仏とされる。日本における失踪問題が世界的にも視線を集める中、かつてホームレスの人々がテント村を形成し、現在も食糧支援の炊き出しが行われている上野公園を中心に、一人の人間の生き方としての"失踪"に焦点を当て、すれ違う人と人のつながりに迫るヒューマン・ミステリーが生まれた。

生活困窮者をサポートするNPOの職員にして、自らの生い立ちにある喪失を抱えるサツキを演じたのは門脇麦。日台合作映画『オールド・フォックス 11歳の選択』(24)に台湾人の役で出演するなど、アジアの映画界に活動の場を広げる中、本作では失踪者に"残された"側の孤独と心の移ろいに力強く向き合った。サツキと行動を共にし、亡き妻の生まれ変わりを信じるホームレスのトシには竹中直人。現在と記憶のあわいを生きるような人物像を細微かつチャーミングに立ち上げている。

監督は幼少期を日本で過ごし、イギリスで映像を学んだワン・チイ。短編映画『CAOCHANG』(2011)で第62回ベルリン国際映画祭ジェネレーションK プラスコンペティション部門に選出され、長編監督作品『THE BARGAIN』(2021)は第26回釜山映画祭でスペシャルメンション賞を受賞した。日本の映画ファンにも根強く愛されているハーヴェイ・カイテル主演『スモーク』(95)のウェイン・ワン監督が企画と共同脚本に名を連ね、日本・中国・アメリカの世界各国にルーツを持つスタッフとキャストによるコラボレーションが実現した。

ある日突然いなくなった人々はなぜ家に帰れなくなったのか。都市の再開発が進むのと引き換えに社会から排除されたホームレスはどこへ行ったのか。どんな人も、誰かにとっての友人であり、家族であり、大切な存在だったかもしれない。彼らは姿が見えなくなっただけで、この世から消えたわけではない。その行方を探す旅は、生と死を超えた魂のつながりへと観る者を誘う。

上野でソーシャルワーカーとして働くサツキ(門脇麦)は、都内の公園の青テントで、"ゴージョー"と呼ばれる身元不明のホームレス男性が遺した日記を見つける。妻を亡くして自身も公園で暮らしているトシ(竹中直人)とともに、ゴージョーの正体を求め、日記を手がかりにホームレスのネットワークを訪ね歩くサツキ。やがてその先に一人の女性の存在が浮かび上がる。さらに荒川の土手で生活するマリの口から明かされたのは、ゴージョーが自ら家族との縁を切ったという過去。それはサツキの人生をも大きく揺らがす事実だった。ゴージョーとはいったい何者なのか。彼はなぜ世間から姿を消したのか。そしてサツキが本当に探している人物とは——

監督

ワン・チイ Wang Qi

この度、『ゴースト・オブ・ウエノ』が8月より日本全国で公開されることになりました。これまでたくさんの映画に関わってきましたが、今回の作品は全てが初めてでした。この映画の企画が生まれたのは、3年前に来日していたウェイン・ワン監督と、ある不思議なきっかけで出会い、「一緒に映画を撮ろう」といただいたことが始まりでした。

人は何か奇妙な、時に運命のようなもので繋がっているのではないか。この作品は、輪廻転生や記憶というものが、どこまでが真実で、どこからが人の心の中で作り上げられたものなのか、そして「真実」とは本当にそれほど重要なものなのか——そんな問いを内包した物語へと育っていきました。こうして作品を完成させることができたことに、改めてウェイン・ワン監督に心から感謝しています。

主演の門脇麦さんは、僕が初めて日本で撮るというのにこの映画を信じてくれて、出演してくれた事にとても感謝しています。さらに今回参加してくれた全てのキャストにも感謝しています。この作品で役者として、同じ映画を作る仲間として、一緒に過ごした時間は本当に特別でした。そして最後にこの作品に関わってくれたスタッフ、日本、中国、アメリカと様々な国から集まった最高なチームに感謝したいと思います。ぜひ映画館で見て頂ければ嬉しいです。

脚本

ウェイン・ワン Wayne Wang

この映画が完成し、とても面白い作品になったことを、心から嬉しく思います。この映画の始まりは、数年前、私の作品で助監督を務めていたワン・チイと脚本家のリ・ヤンとともに、「東京の歴史を映し出す作品を作れないか」と考えたことがきっかけでした。

私たちがよく打ち合わせをしていたホテルの近くには、いつもホームレスの方々がいて、私はその存在に強く惹かれていました。ホームレスの方々は、戸籍を持たず、国家のシステムの外側で生き、いかなる制度にも完全には包摂されていない存在です。そうした社会の外に生きる人々の視点から、日本の近現代史を見つめることができるのではないかと感じました。

彼らは、戦後の高度経済成長、学生運動、大震災、そして「失われた30年」といった時代の大きなうねりを、それぞれの場所で生き抜いてきた人たちでもあります。どれも、この国にとって非常に特別な出来事です。この映画は、虚構と現実を織り交ぜた、ドキュメンタリーのようなスタイルで撮影しました。また、「幽霊」のように社会の周縁に存在するホームレスの方々を通して、現代日本の魂のありようを映し出すことに挑戦しました。

門脇 麦
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竹中 直人

村松和輝 一本気伸吾 比佐仁 前原実 平野貴大 佐々木史帆 輝有子

愛い姫 フェルナンデス直行 楊心彦 池﨑凛歩 原田文明

監督ワン・チイ
脚本リ・ヤン ワン・チイ ウェイン・ワン
音楽松本淳一
製作星野晃志 キム・ギョンフン 丸山えり 陳麗麗
プロデューサー平田樹彦 古賀奏一郎 黄悦
アソシエイトプロデューサー段煉 張昱程
ラインプロデューサー郭雨蕙
撮影監督肖秋雨
照明Alejandro Montero
録音吉方淳二
編集瞿尤嘉 単思琪
音響効果渋谷圭介
美術畠智哉
スタイリスト岡本華菜子
ヘアメイク小坂美由紀
キャスティング林茉結子
助監督近藤有希
制作担当半田雅也

配給:NAKACHIKA 制作プロダクション:SS工房

公開
2026年8月 全国順次公開
配給
NAKACHIKA